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「視覚障害者のボランティア参加 実践報告会」
~東京オリンピック・パラリンピックとその先に~
を開催しました!

2021.01.29

12月16日(水)、ボラサポは「視覚障害者のボランティア参加 実践報告会」~東京オリンピック・パラリンピックとその先に~を開催しました!

東京2020大会の3つの基本コンセプトのうちの1つが「多様性と調和」です。

東京2020大会では、ボランティアをするにあたり、人種、性別、国籍、障害等を超えて、いろいろなバッググラウンドを持ったチームで活動することになります。

そのときに互いの違いを認め、尊重し合いながら活動するためにはどのようなことを心掛け、実践したら良いのか。ボラサポでは、実際に視覚に障害を持つ人たちとともにボランティア活動をすることを通して、その答えを探してきました。

それらの取り組みをまとめた本報告会は、これまでの活動についてのご報告と、東京2020大会にボランティアとして参加予定の視覚障害者の方との座談会の2部構成で実施しました。

多くの方にご参加いただいた、実践報告会の様子をレポートします。


開会のご挨拶

ご自身も全盲であり、パラリンピックでもご活躍された元パラ競泳選手であり、今回の取り組みの発起人である河合純一さん(日本パラリンピック委員会 委員長、東京2020大会組織委員会ボランティア検討委員会委員)から熱いメッセージをいただきました。

東京2020大会では、視覚に障害のある方が大会ボランティアになることが今後のレガシーになるはずです。大会を成功させたいというボランティア同士が一緒に活動することで、まさに「多様性と調和」という大会コンセプトを体現していくものになると思いますし、社会の中で視覚に障害のある方に出会ったら声をかけてほしいと思います。先日も視覚に障害のある方が駅のホームから転落するという痛ましい事故が起きましたが、見える人のあたたかい声かけや見守る配慮があれば、命を救うことができたかもしれません。
今日学んだことを、ぜひ実践の場でも活かしてもらえればと思います。‟One Team for Our Dreams!“

 

1部 視覚障害者がボランティアとして活躍するための環境づくり

ボラサポの二宮雅也参与(文教大学人間科学部准教授、東京2020大会組織委員会ボランティア検討委員会委員)がファシリテーターとなり、これまでボラサポが取り組んできた活動の実践報告を行いました。

冒頭のアイスブレイクで、視聴者の方のボランティア経験を聞くと、なんと約9割がボランティア経験者。しかし、障害のある方とのボランティア経験は約3割で、やはり障害のある方とのボランティア活動がどのようになるかに、みなさん関心があるようでした。

 
本編の活動報告は、これまでボラサポの視覚障害者ボランティア活動をサポートしていただいた筑波大学の宮本俊和先生(非常勤講師/筑波大学理療科教員養成施設 前施設長)と、ボラサポの高橋由香(事業部プロジェクトコーディネーター)です。

1.活動の経緯

宮本先生「 以前、1998年の長野パラリンピックにおいては、専門性の高い分野(針灸マッサージ)でのボランティアが参加していましたが、今回の東京2020大会のボランティア募集内容を見ると、視覚障害者の専門性を活かした活動はありませんでした。
東京2020大会で、視覚障害のある学生がボランティアに参加し、多くのことを学べればいいと考えましたが、視覚に障害のない人とのボランティア活動をした実績が少なく、ボランティア活動を行うことができるか不安がありました。
そこで、まずは活動内容に対する理解からということで、20189月に視覚障害者ボランティアセミナーを開催し、活動内容の説明や、組織委員会への提言を行いました。」

 

2.実践報告

高橋「これまでボラサポでは、視覚障害者のボランティア参加の機会提供(計5回)をしてきました。初めての実践活動終了後に行ったアンケートで、視覚に障害のある人とない人とで満足度を比較したところ、視覚に障害のある人の満足度は低く、障害のない人の満足度は高い結果でした。
そこで、活動をとおして出てきた課題に対して、改善策(集合時間を早める、活動内容などを説明する時間を個別に確保する、視覚障害者本人からサポートしてほしい事項を伝えてもらうなど)を実施することで、その後のアンケートでは満足度が100%まで向上しました。」

また、ボラサポではこれらの活動で得られた知見をまとめたリーフレット「ボランティアガイド~視覚障害者サポート編~」も作成しました。サポートする側が基本を学び、最初の一歩を踏み出してほしいという想いも込めています。

 PDFはこちら

 

第二部 東京2020大会に申込んだ視覚障害者の期待と不安(座談会形式)

これまでのボラサポが機会提供してきたボランティア活動に参加し、大会ボランティアとしても活動予定の視覚障害者の方2名と、その際に視覚障害者の方の活動をサポートした視覚障害のない方1名の計3名による座談会です。(ファシリテーター:二宮先生)

・石田隆雄さん(全盲・石川県立盲学校教諭)
        大会ボランティア(射撃会場・パラリンピック)

・秋吉桃果さん(弱視・筑波大学理療科教員養成施設1年)
        大会ボランティア(オリンピックスタジアム・パラリンピック)

・吉谷美和さん(晴眼者・東京海上ビジネスサポート(株))
        大会ボランティア(国際放送センター・オリンピック)

 

実際にボランティア参加した感想。

石田さん
金沢から参加された石田さん。当日は金沢では雪が降っていたこともあり、雪が降ってしまうと点字ブロックに雪が積もるなどで、空間把握が難しくなるというエピソードもお話いただきました。
「ボランティアに参加する際に、最初はやはり不安がありました。でも、やってみて、周りのサポートがあれば参加できることがわかりました。活動時の集合時間を早めることで事前に会場全体の空間把握ができるようになったり、自分がしてほしいサポートを共に活動する方に伝えることによって、スムーズに活動できるようになりました。お互いに必要なコミュニケーションを取り合い、サポートしてもらったことによって、活動を楽しむことができました。」
 

 
秋吉さん
「正直、最初は支援が足りないと感じる面もありました。障害のない方と一緒のペースで説明されても、説明の内容がよく理解できなかったです。ただ、ボランティア活動ではこうやって自分のことを知らない人と一緒に活動をするため、普段は自分のことをよくわかってくれている友達が一緒だったからこそ、できていたことがあったと気づきました。」
 

吉谷さん
「最初はすごく緊張しました。どういうサポートをしたらいいのか、どのような言葉をかけたらいいのかわからず、今振り返ると過剰な動きが多かったなと感じます。しかし、活動当日にサポートした石田さんの方から積極的にコミュニケーションを取ってくれたおかげで、少しずつサポートの仕方が分かってきました。この活動の時にすごく反省した経験から、視覚障害の方をサポートするために役立つ同行援護従業者の資格も取得しました。このボランティアの経験が、自分の学ぶ意識を高め、世界を広げてくれました。」

 
コロナ禍で困っていることや必要なサポートについて。

 日常でのサポートや今後の活動に活かすため、コロナ禍でどのようなところに困っているのかをお聴きしました。当事者でなければ気づかないところも多く、とても参考になりました。

 石田さん
「今までと比べ、感染を気にして、声を掛け合う機会が減ったことが寂しいですね。スーパー等で、以前は店内で誘導をしてもらっていたが、現在はそれが避けられています。決して悪気があるわけではないのですが、結果的に現状はそうなってしまっています」

 秋吉さん
「お店などで置かれている手指消毒のボトルが、どこにあるかわからないですね。障害のある人にまで目が向いた構造となっていないことがあり、特に足踏みタイプのタイプはわかりにくいです。
そういう面では、持ち歩ける消毒液のミニボトルがあると便利ですね。ボランティアをする際もお互いにとって安心だと思います。」

 吉谷さん
「感染リスクを考えると声を掛けづらくなっている現状があります。ボランティア現場では対応できるかもしれないが、街なかでは少し引いてしまうこともあるかもしれません。ただ、お互いに歩み寄ることが必要だなと感じます。」

 

 ③視覚障害者がボランティア参加をするために必要なことは。

 これまで、ボラサポでは視覚に障害のある方へボランティア参加の機会を提供してきましたが、まだまだボランティア活動をすることにハードルを感じる視覚障害者の方もいると思います。そのハードルを乗り越え、第一歩を踏み出すためにはどのようにしたらいいかを一緒に考えていきました。

石田さん
「自身の教員の立場からは、生徒たちに、まず障害を持つ自分自身を理解し、ボランティアを通じて、自分が必要とするサポートを具体的に伝えるという自己表現を学んでほしいと考えています。」

秋吉さん
「ボランティアの場は、自己表現の場となるなと感じます。ボランティア現場にはいろいろな人がいて、そこに障害のある方も参加することで、お互いの気づきとなり、相乗効果が生まれると思いますので、いろいろな人に参加してほしいです。」

 吉谷さん
「私たち障害のない人も一歩を踏み出すことが必要かと思います。おせっかいかもしれないが、声を掛けることが必要で、サポートを通じて得られる達成感や喜びもあります。」


 これまでのお話から、ボランティアには、さまざまなことを学ぶことができ、その先の日常にも活きるようなたくさんの可能性があることを強く感じました。

参加者からのQ&A

たくさんの質問が寄せられ、参加者の関心の高さが伺えました。
「視覚障害者の方が困っているかどうかの見分けがつかず、どのように声掛けをしたら良いかわからない。」という質問もあり、秋吉さんからの回答としては、「サポートが必要ない場合にはきちんとお伝えするので、まずは声をかけてもらい、それでコミュニケーションを図っていくことが大切だと思います。」ということでした。


 今回の報告会をきっかけに、積極的な声掛けや、お互いのコミュニケーションで理解が進むことを願っています。ボランティアをはじめ、まず私たちができることに一歩ずつ取り組んでいきましょう。

※12月16日にオンラインで行われた『視覚障害者のボランティア参加 実践報告会』の様子はこちらから動画で確認できます。          

※『視覚障害者のボランティア参加 実践報告書』はこちらから確認できます。