JOURNALジャーナル

【#withコロナ特別編】
障害者のリアルを知る⑥
<後編 独立行政法人国際協力機構(JICA)北海道センター 研修業務課職員、東京2020大会共通研修講師
石田由香理さん>

Interview

2020.12.07

前編では、仕事の仕方の変化による悩み、日常生活を送る上での困っていることなどを石田さん自身の経験からお話をしていただきました。

後編では、テクノロジーが進歩する一方で視覚障害者にとって困る事、サポートの面で戸惑っている事や、ボランティアの方へのメッセージなどをまとめています。

 

サポートする側も、される側も接触にためらい

 

――サポートや手伝っていただくときなどの場面で、コロナ以前と変化はありますか――

石田さん
サポートしてくれる時、私も初めて手を出すのに躊躇するようになりました。私たちをサポートしてくれる時、どういう風に手を引いてよいかわからない人もいるんです。

なので、「良かったら案内しましょうか?」と言っていただいた時には、こちらから手を出すようにしていたんです。そしたら大体行きたいところに導いてくれるんです。

男性陣だったらセクハラなどもあるので手を出すのに躊躇しなければいけない事もあるんですが、私は女性だし気にせず手を出していました。

ただコロナ禍の接触を減らす雰囲気で、向こうがどう思うのかというところもあるので、自分から手を出すことに、ちょっとためらっているのはあります。

多少なりとも知っている人同士であればお互い気にするかどうかとか、何か対策したほうが良いのかなど話はできると思います。

ただ道や駅とかで声をかけられた初対面の人とどうするかは難しい問題ですね。

 

――なるほど。でもどうしたらよいのでしょうか?積極的に「何かお手伝いできることはありますか?」と声かけはした方が良いですよね?――

石田さん
声かけはしていただけるとありがたいです。ただその次のステップとして、駅などで「改札までお願いします」と言ったときに、相手に触ってよいのかは悩むんですよね。

視覚障害者は基本的に触らないと何もわからないところがあります。接触での不便さでいうと、世の中のタッチパネル率が増えていますよね。

また消毒などもセンサー式のものが増えてるんですが、どこにボタンがあるのか、消毒液が出てくるのかなど距離感がつかめないので、そういう部分も難しいところはあるんですよね。

 

テクノロジーの進歩が、視覚障害者には適切ではないことも

 

――タッチパネルなどもボタンがないとわからないですよね。そういう時はどうされるんですか?――

石田さん
人に頼むしかないですよね。最近ファミレスのドリンクバーのボタンがタッチパネルなんですよ。どこに飲みたいジュースのボタンがあるのか分かりません。

テクノロジーの進歩で逆に、見えている人の助けが必要な場面も一部増えていますね。

 

 

――便利に効率化されている機能が、逆に助けが必要になる人もいるという事ですね――

石田さん
その通りです。少し話がずれるかもしれませんが、ホテルのフロントにも人がいないことがあるんですね。

ボタン押さないと出てきてくれないんですが、ボタンがどこにあるかわからないんですよね。ホテルに泊まった時などにフロントに人がいないからとても困っています。

コロナでまたそれが一層顕著になっているんじゃないかとも思います。

 

――人がいるという事で、助かる状況もあるわけですね。そういうところは、大会時のボランティアにも期待できるところですね。――

 

普段から日常生活に制限 外出自粛の影響は微小

 

――健常者といわれる人たちもこのコロナ禍で中には生活環境が一変して、ネットに弱い人などはリモートワークに上手く対応できず、疎外感を感じていたり、障害体験に近いような状況を多くの人達が実感していると思います。そのあたり共通研修の講師として何か思うことはありますか?――

石田さん
視覚障害者の私たちが困ることは少なく、緊急事態宣言や外出自粛で騒いでいたのは健常者の方たちなのかなと思います。

外出自粛などの制限で、すごい困った視覚障害者は私の周りからも聞いていないんですよね。普段から、ガイドが頼めなかったら行けないとかよくあるんですよね。

行きたい時に行きたい所へ行けないというのは、私達からすれば普段からあった話です。だから、私たちが今回の様々な制限に困ったみたいな事はあまり聞かないですね。

 

躊躇なく声かけしてほしい

 

――最後に、障害当事者としてこのように対応していただきたい事や、ボランティアの方へのメッセージやなどいただければと思います。――

石田さん
「街中で困っている人を見かけた時、声をかけたほうが良いんですか?」とよく聞かれるんですが、「状況や人によって違います」という答え方しかできないかなと思います。

例えば、人身事故で電車が止まったなど通常とは違った状況が起きている時などは障害者に限らず外国人も正確な情報を得ることが難しいので、声をかけてほしい場面だと思っています。

今は、それこそコロナの感染拡大で、普段空いてたお店の営業時間が違う、運行時間に変更があるなど、日常と違う状況が起きています。

一概に言い切れないですが、今こそ、障害者や外国人は、声をかけてもらいたい状況は多くなっているのかなと思います。

ですので、街中で困っていそうな方を見かけたら、躊躇なく声かけてほしいなと思います。

熊谷先生、八木さんに続く第3弾として、様々な視点から石田さんにお話をしていただきました。

視覚障害者にとっての声掛け、そして触ることの重要性から、お金の支払いなど細かな困り事まで率直な意見、想いを語ってくれたので、視覚障害者の人に対して具体的にどんなサポートをすればよいのか少し見えてきたように思います。石田さんありがとうございました。

今後も人にフィーチャーした#withコロナを定期的に載せていきます。どうぞよろしくお願いします。

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