Journal

【#withコロナ特別編】
「障害者のリアルを知る④」
<後編 自立生活センターいろは事務局長、東京2020大会共通研修講師
八木郷太さん>

2020.12.04

前編では、八木さん自身が、万が一コロナに感染した時の不安に思うリアルなお話や、自立支援センターいろはを運営する側でのお話を中心に伺いました。

後編では、東京2020大会ボランティア研修の講師の立場での想いや、ボランティアに関するメッセージ、さらに当初7月に行ったインタビューからの気持ちの変化も、あとがきとしてまとめています。

街中での声掛けはしてもよいの??

 

――八木さん自身今までのボランティアの研修など、車いすのサポート方法などを教えていると思います。今あまり外には出られていないということですが、もし街に出かけたときに、一般の人から声をかけられたら戸惑いますか?それとも声をかけていただいてありがたい、どちらの受け取りをすると思いますか――

八木さん
私としてはうれしいですね。ただ人によっては話しかけられたくないという人もいると思いますが、困っているときに助けてくれる、声をかけてくれるというのは、すごくうれしいですね。

――ボランティアの人たちは、このコロナ禍で本当に声をかけてもよいのか、万が一それで移したらどうしようとか、悩んでいると思います。一体どういう風に声をかけたらよいと思いますか?――

八木さん
私は声のかけ方は変わらない気がしますね。もちろんマスクはする、あとは少し距離をとるぐらいかなと思いますけどね。それ以外に声のかけ方は変わるんでしょうかね、中々難しいですね。

 

――声を掛けること自体は積極的にしたほうが良いとお考えですか?

八木さん
私はそうです。もちろん困っていることがあれば助けてほしいので。

東京2020大会に話を置き換えると、オリンピック、パラリンピックのボランティアが何万人と会場内外にいる中で、ボランティアが手助けしてくれる、サポートしてくれるから観戦に行ける、と頼りにしている障害者もたくさんいると思います。

ただ、いざ行ってみたら声かけてくれない、声かけづらいというのが一番最悪かなと思います。やはり助けがあるから行ける人もたくさんいるので、大会の時もコロナの感染具合にもよるかもしれませんが、声掛けはしてほしいですね。

 

コロナで見える障害者のリアル

 

――このコロナ禍で健常者も外出ができないなど、一種の障害状態のような体験をしたと思います。東京2020大会共通研修で講師をされた八木さんとしては、その状況をどう見ていたでしょうか?――

八木さん
人や町に障害があることで、障害者が自分のしたいことができない、というのは研修の際にも言っています。具体例を挙げると、車いすに乗っているからできないのではなくて、そこに段差があるから出来ない、などです。

このコロナ禍では健常者も障害者も外出したいのに出られませんでした。自分が悪いわけではなく、これをしたいけどそこに障害があるからできない、という障害者のリアルをこのコロナでみんなが痛感したのかなと思います。

自分の大切な人にそうなってほしくない、という理由でみんなが自粛したと思うんです。そういうところは障害者の分野でも似ていると思います。

身体に障害があって何かできないことを見たり、聞いたり、自分が体感する、というのが、一番みんなが障害について考えてくれるきっかけになるのかなとは思いますね。

 

ボランティアへのメッセージ

 

――このコロナが障害について学び直す機会にもなっているかもしれないですね。最後にボランティアの方たちへのメッセージをお願いします。――

八木さん
コロナ感染の拡大など大変ではありますが、それでも共通研修でも話にあったスタッフコンセプトである「私は輝く」は変わりません。

ボランティアの活動の仕方は少し変わるかもしれないですが、観客だけでなく、ボランティアをする側の人たちにも楽しんでもらうこと、それは何一つ変わらないかなと思います。

1年延期になったなど、そういうごたごたは正直ありますが、逆にその分もより楽しんでもらえればいいなと思いますね。

2020年にやるときよりも背負う期待は絶対に大きいです。今までにないオリンピック・パラリンピックですよね。だからこそボランティアの皆さんにも存分に楽しんでもらいたいなと思います。

あとがき(2020年11月16日に改めてお話を伺いました)

 

八木さん
インタビュー時からは社会の状況も変わり、私自身の考えも変わってきました。まず当初抱いていたコロナに感染した場合の死の恐怖については、重症化の低さ等のニュースもあり軽減しています

また、マスクの着用や手洗い等の基本的な感染症対策をしっかり行うことで、感染リスクが下がることが分かったのも大きいです。感染リスクとは別に周囲の目を気にするようになった場面が新たにありました。

コロナ感染者数が落ち着いたころ友人と食事(共にヘルパーさん同席)に行きました。ヘルパーさんはすぐ隣に座りサポートしてくれることもあり、4人が近い距離にいるため周囲から密だと思われないかと、気になることがあります。

また、新たに気づいたこともあります。

コロナの感染者数が増加している時期に、電車移動から車移動へ切り替えていたのですが、落ち着いてきたころに久しぶりに電車に乗りました。その際、駅の乗務員が新人の方だったのか、スロープの設置方法を知りませんでした。

コロナ前までは毎日のように電車を利用していたため、乗務員とも顔見知りで待ち時間も少なく、スロープ等のサポートでもスムーズに行っていただいてました。私が当たり前のように毎日電車を利用していたころは、きっと車いす使用者がいる生活が周囲の乗客含め乗務員も自然であったと思いますが、利用しなくなると周囲の人が車いす使用者へのサポートを行う、考えるきっかけがなくなるのだなと感じました。

熊谷先生同様、様々な視点から八木さんにお話をしていただきました。話の最初の段階で、「死」という言葉が出てきました。

その言葉を聞いて、障害のある人はコロナへの不安が健常者よりも大きいことを改めて実感させられ、リアルな障害当事者からの貴重なお話を聞くことができたと感じています。八木さんありがとうございました。
今後も人にフューチャーした#withコロナを定期的に載せていきます。どうぞよろしくお願いします。