Column

ボランティアで長年の思いが成就。示した力と手にした自信

クォン・ヒョヌさん(Kwon Hyeon-Woo) /大学4年生

シンポジウム第2部の「ピョンチャン大会におけるボランティア経験者によるクロストーク」コーナーには、バックグランドも、ボランティア担当部署も全く異なる3名が登壇。貴重な体験談を共有してくださいました。
その一人、韓国人のクォン・ヒョヌさんは先天的な脳性まひのため脚に障がいがあり、幼い頃から車いすで生活しています。1995年生まれで、今は社会福祉学を学ぶ大学4年生です。
シンポジウム参加のため韓国から来日。「日本は今回で2回目。実は7月に再来日予定で、日本1周旅行を計画しているんです」と笑顔。とてもアクティブな方でした。

ボランティアとして担当した部署は?

オリンピックとパラリンピック両大会で活動しました。配属されたのは両大会とも、大会や江陵市の文化、周辺の観光案内などについて紹介する「広報体験館」という施設で、来場者に展示物の説明や周辺の観光案内などを行いました。
一日の活動時間は6~7時間。9時から16時までと、15時から21時までの2シフト制で働きました。1日の来場者は1000人から2000人ほどで、とても忙しかったけれど、かけがえのない貴重な体験ができて、すごく満足しています。

応募の動機は?

ボランティアに応募したきっかけは、たまたま映画館で大会ボランティアの募集ポスターを見たことです。実は、僕は子どもの頃からずっと人から助けてもらう立場だったので、いつか他の人の助けになって恩返ししたいと思っていたのですが、募集ポスターを見たとき、「これだ!」と思ったんです。
以前から、大学の実習で福祉施設の手伝いや子どもの学習支援といったボランティア活動は経験していましたが、国際的で、これほど大規模なイベントに関わるのは初めてでした。

でも、応募するときに家族からは「寒さに気をつけて、頑張って」と応援されたし、活動中は会場に訪れた友人たちから、「いいなあ」とうらやましがられて、すごく誇らしかったです。
また、江陵市のような地方都市が世界最高峰のスポーツの祭典を開催する。そして、自分もその成功の一員となれたことは、大きな達成感があります。

活動中に困ったことや大変だった点は?

会場で活動中は特に不便はなく、車いすが「障がい」と感じることはありませんでした。パラリンピックでは、オリンピック期間より自分と同じく障がいのある来場者が増えましたが、僕自身に障がいがあるからこそ、障がいの有無に関係なく、誰にも平等に対応することを心がけました。
通勤用に車いすでも乗れるリフトバスが配車され、宿舎も段差のないバリアフリーの部屋を割り当てられました。運営側の配慮があれば、障がいがあっても大丈夫だと思います。例えば、視覚障がいのある人も移動介助の人がいればボランティアとして参加できるのではないでしょうか。さまざまな人の参加があったほうが盛り上がると思います。
個人的に困った点は、来場者の中に1日に30~40人ほどの外国人がいたのですが、語学はあまり得意ではなく、上手に応対できなかったこと。日本人や中国人、アメリカ・カリフォルニア州の人が多かったのですが、もっと英語ができればと、残念でした。

ボランティア体験を終えて、今、どんな思いですか?

今回のボランティア体験は僕の人生で大きな転機となりました。助けられる側だった僕が、助ける側になれたんです。車いすのハンデを感じるどころか、多くの来場者に喜んでもらえて、「人の役に立てるんだ」と、すごく自信になりました。
また、車いすの僕がボランティアとして活動している姿を、多くの人々に見てもらえたことで、「障がい者にもできる」ということも示せたのではないかと思っています。

将来は障がい者の就労を支援する仕事に就きたいと思っています。韓国では障がい者の社会参加率はまだまだ低いので簡単な仕事ではありませんが、今回のボランティア体験のおかげで、僕は誇りをもってチャレンジできると思うし、他の障がいのある人たちの刺激になれれば、嬉しいです。
僕はボランティアをやって、本当に良かったと思っています。もし、少しでも興味があるなら、絶対にチャレンジしてください。きっといい経験ができるはずです!