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なぜ、ボランティア活動に参加するのか?
その魅力や楽しさを中学生にわかりやすく伝える講演会を開催!

2021.06.04

開催まであと2カ月と迫った東京2020大会を支えるボランティア活動。その魅力や楽しさを、これからの時代を築く子どもたちにも知ってほしいと、熱い想いに駆られた稲城第六中学校(東京都稲城市)の先生から依頼を受け、去る5月22日(土)に当校の体育館で講演会を開催しました。

当日はボラサポのスタッフとともに、東京2020大会で実際にボランティア活動を行うField Cast3名が講演。400名を超える向上心の高い生徒たちと心弾む楽しい時間を共有することができました。ここでは、その様子をレポートしていきます。

進取の気性に富んだ注目の中学校に、3名のField Castが訪問

今回の舞台となった稲城第六中学校は、多摩ニュータウンの一角にある若葉台地区の丘に建つ、稲城市内で最も新しい中学校です。31,000平方メートルもの広い校地には、近代的な設備を整えた欧風の校舎や体育館が建ち並び、これからの時代に必要とされるグローバルな資質と能力を育む教育が行われています。

校内には、東京2020大会の最新情報はもちろん、東京1964大会の歴史や幻となった1940年の東京オリンピックのエピソード、さらには日本へのオリンピック誘致に尽力した嘉納治五郎氏の個人史などが掲示され、オリンピック・パラリンピックの開催に期待感を募らせている様子が伝わってきました。

講演会に登壇してくださったのは、山本泰三さん、杉山和恵さん、澤田健太郎さんの3名のフィールドキャストです(左から順に)。仕事に家庭に忙しい毎日を送る皆さんですが、今回は貴重なお時間を割いて、稲城第六中学校の生徒たちにボランティア活動の魅力を伝えてくださいました。

 

まずはオリパラの歴史や文化、ボランティア活動を学ぶ講義からスタート!

講演はボラサポ事業部の田中裕太郎氏による、オリンピックやパラリンピックの歴史や文化、大会を支えるボランティア活動などを学ぶ講義からスタートしました。

講聴に先立ち、まずは生徒たちに頭と体を動かしてもらおうと、「お願いゲーム」というユニークなアイスブレイクを行いました。ルールはいたって簡単で、「お願い、〇〇してください」とセリフの頭に「お願い」をつけたときだけ、その〇〇の動作をするというもの。「お願い、座ってください」「お願い、立ってください」「お願い、右を向いてください」というリクエストが続き、最後に「お願い、ぜひ今日の講演を楽しんでください」と生徒たちに一番大切なお願いをして講演が開始しました。    

オリンピックやパラリンピックの歴史や文化を学ぶ講義では、まずは「オリンピックのシンボルマークは何を意味している?」「近代オリンピックの基礎を築いたピエール・ド・クーベルタンがオリンピックに込めた想いとは?」「日本でオリンピックムーブメントを広めた嘉納治五郎ってどんな人?」といったオリンピックの重要トピックを解説。初めてパラリンピックという名称が独自に使われた東京1964大会の大切さを振り返りながら、続くパラリンピックの講義内容へ生徒たちの関心の目を向けさせました。

授業では講義だけでなく、生徒たちにクイズを出題したり、質問を投げかける双方向の対話もたくさん盛り込まれ、生徒たちも受け身になることなく、能動的に参加してくれたよう。講師からの問いかけに、多くの生徒が積極的に挙手してくれました。

パラリンピックについての講義でもっとも盛り上がったのは、2014年のドイツ陸上選手権に参戦した義足のジャンパー、マルクス・レーム選手が残した走り幅跳びの優勝記録を問うクイズです。正解の8.24mが実際にどれくらいの距離なのかをビニールテープを使って表すと、そのすごさに思わず会場が沸きました。

その他、傷病軍人のリハビリとしてスポーツを取り入れていたイギリスのストーク・マンデビル病院で開催されたスポーツ大会がパラリンピックの起源であること、日本ではストーク・マンデビル病院に留学していた医師の中村裕博士が「保護より機会を」を理念にパラリンピックの考えを広めたこと、パラスポーツはさまざまな障害のある選手が平等に競い合うことができるようにルールや道具に多くの工夫が施されていることなど、知っておきたいパラリンピックの教養が紹介されました。

そして最後は、東京2020大会のトピックや大会で活躍するボランティアの方々の説明を     行いました。大会期間中に、稲城市の人口(約9万人)より多い、10万人以上の方々がボランティア活動に従事することを知った生徒たちは一斉に驚きの声を上げていました。

 

Field Castの本音で伝える、ボランティア活動の魅力や楽しさ!

続いて、フィールドキャストの方たちからボランティア活動の魅力や楽しさを紹介する講義が行われました。杉山和恵さんが中学1年生を、山本泰三さんが中学2年生を、澤田健太郎さんが中学3年生を担当しました。

中学2年生の講義を担当した山本さんが冒頭で、ボランティア活動に参加する動機は「実は自分のため」と説明すると、ボランティアは他人のためにするものと考えていた生徒たちは意表を突かれた様子でその後の授業を聞き入っていました。

山本さんも以前は「他人のために何かをするボランティアは、限られた人だけがやる特別なもの」と考え、興味をもちつつも少し怖いという感情を抱いていたといいます。しかし、自身の勤める会社でたまたま開催されたスポーツボランティアの研修会に「合わなければ、やめればいいか」くらいの軽い気持ちで参加したところ、サポート体制が整っていたこともあって上手い具合にフィットし、そのままその魅力に引き込まれていったそうです。

「パラ駅伝 in TOKYO 2019」「シッティングバレーボールチャレンジマッチ2019」「WWRC車いすラグビーワールドチャレンジ2019」などの大会にスポーツボランティアとして参加し、その後、ボラサポ隊のメンバーになったという活動内容ついても話してくれました。

そんな山本さんの考えるボランティア活動の魅力は、「自分で考えて行動し、初めて会う人と意見を交換できること」にあるといいます。「(活動の一環である)今日の講義でも事前に話す内容を考えて時間内に収まるようにスピーチ原稿を整理したり、皆さんからの質問に答えて意見を交換したり、普段の生活ではなかなかできない経験を味わえています」と話し、仕事や学校から離れた、上下関係のないフラットな環境で自分の考えを伝えたり、いろんな人の意見を聞く大切さを提起してくれました。

また、冒頭の「ボランティアは自分のためにしている」という発言の真意は、「仕事で新しいことに挑戦したり、趣味の楽器演奏や運動で感性を磨いたり、心身を鍛えるのと同じように、ボランティアは自分のスキルアップにつながっているから」だと説明。ボランティアという“学びの場”で身につけたスキルを仕事や趣味に生かして相乗効果を得ることができたら、そんな素敵なことはないと締めくくってくれました。

講演の最後には、生徒代表から「本日の講義で学んだ内容を日々の生活で取り入れ、機会があれば積極的にボランティアに取り組んでみたい」という今後の展望と、来校への感謝を伝えるお礼の言葉をいただきました。

また、講義を聴き終えた生徒たちからは、「これまでパラスポーツを知る機会はほとんどなかったのですが、今日の授業を聴いてそのすごさに驚かされました。オリンピックとともにパラリンピックも必ず観たいと思いました」「どうして多くの人がボランティア活動に参加 しているのか不思議に思っていたのですが、自分を成長させることができるからという話を聞いて納得することができました。ボランティアを自分の判断で自分のためにするという新しい考え方を知ることができてよかったです」といった感想が寄せられました。

 

困っている人を助けるのはもちろん、ボランティアにはもっと身近で敷居が低く、自分から楽しんでできることもたくさんあるという事実を知ってもらえた今回の稲城第六中学校での講演。一人でも多くの生徒がボランティア活動に興味をもち、その一歩を踏み出すきっかけとなってくれたら嬉しいですね。

text by Jun Takayanagi