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【テストイベントレポート】
自転車競技(ロード)vol.2 都市ボランティア(シティキャスト)編

2019.08.07

文:山本美佳/撮影:岡本寿

7月21日に開催されたテストイベント「READY STEADY TOKYO-自転車競技(ロード)」。レポート後編では、シティキャスト(都市ボランティア)の活動の様子をご紹介します。

曇り空の1日、活動の舞台は富士スピードウェイ(自転車競技のゴール地点)へのシャトルバス発着場となったJR御殿場駅です。

駅に降り立つのはシャトルバスに乗る人だけではありません。一般の観光客や登山客、アウトレットに行く人のほか、世界遺産である富士山を目当てに訪れる外国人観光客も多いため、シティキャストの適切な誘導や案内が必要になります。

この日のボランティア参加者は、受付後に「御殿場コンシェルジュ」の関谷葉子さんの誘導で、実際に活動する現場に移動し、30分ほど説明を受けました。

「御殿場コンシェルジュ」とは、御殿場地域に密着して活動するボランティアです。シティキャストは県内外から参加するため、御殿場に詳しいとは限りません。そこで、この地域の情報を熟知している「御殿場コンシェルジュ」の関谷さんら5人のメンバーが、この日のボランティア活動をサポートしてくれました。

動線を確認し、駅周辺の施設(トイレ、コンビニ、観光案内所、AED など)やシャトルバス乗降所などの説明をしていきます。「このトイレはオストメイト対応です」などの説明に、熱心にメモを取るシティキャストの姿が見られました。

続いて、今回のボランティア活動を主催する静岡県オリンピック・パラリンピック推進課の小林直子主査の挨拶でミーティングが始まり、今回のテストイベントやシティキャストの活動内容についての説明がありました。

「御殿場コンシェルジュ」関谷さんからの「 “またここに来たい”と思われるよう、初めて御殿場に来た人の気持ちになって対応してください」との言葉に、みなさんは大きくうなずいていました。

「御殿場コンシェルジュ」のメンバーは全員英語が堪能で、御殿場の観光やグルメ情報を熟知しているため、シティキャストにとっては心強く頼もしい存在です。

シティキャスト同士で自己紹介をして、ユニフォームに着替えると、いよいよ気分が盛り上がってきました。一息入れたら、さあ、活動開始!

活動場所はJR御殿場駅の改札前、富士山口、乙女口の3カ所です。ボランティアとして案内活動をする班と、観戦客・観光客役を演じる班とに分かれ、交互にそれぞれの役割を担当します。

この日のテストイベントには事前申込で当選した2020名が無料で招待されたため、シティキャストたちは、5分おきに出発するシャトルバスへ招待客を案内します。一方、一般の観光客への観光・交通案内もしっかり行いました。

観戦客・観光客役を演じる班では、ボランティアへ適宜質問をするとともに、駅周辺の散策をしながら観光情報や飲食店情報の収集にも力を入れました。

シティキャストたちは緊張した面持ちながら、お互いに協力し合って進めていきます。当初はぎこちない動きでしたが「富士スピードウェイ行きバス乗り場はこちらです」と案内の声を出すことで、少しずつ慣れていったようです。手が空いている時間帯には、自主的にゴミ拾いをしているボランティアもいました。

この日は、全体的には人は少なめだったものの、富士スピードウェイへのバス発着場と、富士山の登山客向けのバス発着場が近くにあったため、それぞれの待機列が混雑する時間もありました。大会本番で観戦客をスムーズに誘導するために、バス停の位置やシティキャストの活動場所など、よりスムーズなオペレーションに向けての改善点も見つかった形となりました。

終了後は駅前のビルに集まって活動内容を振り返り、「耳の不自由な方と筆談できなかった。」「時刻表の案内がなかった。」「箱根方面への行き方がわかりにくい。」などの課題を共有しました。

「現地で実際に活動してみて、声の出し方や話しかけるタイミングの難しさを実感した」という意見も寄せられました。今回の研修でこのような点に気付いたことは大きな前進であり、本番で目指すボランティア活動がより具体的に見えてきたのではないでしょうか。

最後に、「御殿場コンシェルジュ」関谷さんから、今回のボランティア活動についての言葉をいただきました。
「実際に経験すると情報が足りないことに気付きます。すると興味がわいて勉強や情報交換をするようになり、自信をもって笑顔で応えられるボランティアになります。基本は相手が喜んでもらえることに対応できるかどうか。『知らなければいけない』のではなく『どこまで応えられる人間になるか』です。地図や案内板などで『見える化』することも大切です。ぜひ本番でも今日のことを思い出してがんばってください」

参加者たちは真剣に耳を傾け、来年の大会に向けて気持ちを奮い立たせていました。

当日活動したシティキャストと「御殿場コンシェルジュ」に話を聞いてみました。

■内田 圭さん

「ロンドン五輪で偶然にも自転車競技を見て感動しました。また、世界各地の人々と連帯感を感じた経験からオリンピックに携わりたいと思い、シティキャストに応募しました。今回、現地で実際に活動できたのはいい経験で、私がお客さまに御殿場の良いところを教えてもらうなど多くの収穫がありました。人と触れ合うのが好きなので、ボランティアで知らない人と話せることが楽しみです。」

■津田 里子さん

「2007年に沼津市で行われた技能五輪国際大会でのボランティア経験による影響が大きく、ボランティア活動は自分に課せられた仕事だと思っています。以前は自転車競技に興味がなかったのですが、実際に生で競技を目のあたりにするとものすごいスピード感に驚き、力強い疾走ぶりに感動しました。子どもたちの視野を広げるためにも、この感動を次の世代に伝えていく必要性を感じ、私なりに実行していくつもりです。」

今回サポートしてくれた「御殿場コンシェルジュ」には、10代のメンバーや学生のほか、台湾出身の人も。
■楊 政勲(ヤン ジュンシュン)さん

「2017年、大学3年のときにインターンシップとして御殿場で仕事をした際に「御殿場コンシェルジュ」に誘われ、現在も年に数回活動をしています。今回一緒に活動したシティキャストの方はみなさん優しく、とても楽しかったです。ただ、ボランティアに慣れていないのか、ちょっと恥ずかしそうに見えたので、本番ではもっと積極的になるといいと思います。」

いよいよ1年後に迫った東京2020大会。シティキャストの活躍が期待されます。